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文章に携わるなら読むべき!哲学者の考える読書術「読書について」byショーペンハウアー

皆さんは、本を読みますか?

または普段から文章を書きますか?

「効率よく本を読みたい」、「良い文章を書いてみたい」などの悩みは誰しも一度は持ったことがあると思います。

 そんなよくある悩み、哲学者が答えを出しているかもしれません。

今回はショーペンハウエルの「読書について」という本を紹介します。

 

 

読書について ショーペンハウアー

ショーペンハウアーと聞くと堅苦しい哲学をイメージされるかもしれません。

しかし、この本は文章を「読むこと」と「書くこと」両方について綴った、現代に通じる一冊なのです。

 ショーペンハウアーは主に19世紀に活躍したドイツの哲学者です。

芸術や他の学問に深く精通しており、彼の著作は以後の多数の哲学者に大きな影響を残しました。

日本の作家では、筒井康隆などが、彼の影響を受けた作家としては有名でしょうか。

そんな博学であり多大な影響をもたらしたショーペンハウアーが、読書や著作について綴った本が、この「読書について」です。

 

ショーペンハウアーの読書論

読書は言ってみれば自分の頭ではなく、他人の頭で考えることである。

ショウペンハウエル; 斎藤 忍随. 読書について 他二篇 (岩波文庫) (Kindle の位置No.123). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

彼は言います。

他人から学んだだけの知識は、われわれに付着しているに過ぎない。自分で考えて獲得したものこそ、我々の手足のように動く、真に私たちの血肉になったものである。

ショーペンハウアーは悪書と呼ばれるものを嫌っていました。

真に価値ある本を二度にわたって読み、それを咀嚼して自分たちの一部とすべきであるという読書術を残しました。

なんとなく本に目を通し、読んだ気になってしまう私には耳が痛い話です。

しかし彼は多読そのものは否定しませんでした。

真に価値ある本に出合うためには、悪書と呼ばれるものを読んでまで探さなければなりません。

この読書についての彼のスタイルは、ネットによる情報過多の時代に生きる私たちにも通じるような知見があるように感じます。

 

著作と文体について

読書論だけでなく、この本には「ものを書くこと」についても書かれています。

彼によると著作家には二つのタイプがあるそうです。

1.事柄そのもののために書く著作家

2.書くために書く著作家

第一のタイプの人は、書きたいものを書かずにはいられない人間です。

第二のタイプは、金銭を求め、書くために考えている著作家です。

皆さんはどちらのタイプでしょうか。

 

ブロガーなど文章を書く人に通じる

物を書くときに「テーマが見つからない」とか「書くことがない」という悩みを持ったことはあるかと思います。

彼は、悪書を増やさないためにも第一のものを書かずにはいられない人間にだけ、書くことを奨励しています。

しかしブログやtwitterは自分の意思で始めている今、皆さんは第一のタイプに近い人間であると言えると思います。

テーマに困ったときには、彼のように「自分の頭脳から書くことを取り出す」、要は自分が何を書きたかったのか、今一度問いかけてみてはいかがでしょうか。

そうすることによって、ショーペンハウアーの言う「読むに値する作家」になることができるのではないでしょうか。

 

最後に

無知は富と結びついて初めて人間の品位をおとす。

ショウペンハウエル; 斎藤 忍随. 読書について 他二篇 (岩波文庫) (Kindle の位置No.2207-2208). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

ショーペンハウアーの著作にはこのような”名言”と呼べるような言葉がたくさん出てきます。

しかしこの名言だけを知り、それに盲目に従うような人間は彼の嫌うタイプでしょう。

真に価値ある本を読み、自分の頭で考えていくこと」こそ彼の理想とするスタイルです。

そんなショーペンハウアーの著作、読んでみてはいかがでしょうか。

きっと文章を読むことにも書くことにも活かせる知識が得られるでしょう。