勢いで物事を押し通す/一口目が一番おいしい系マンガ「合法レシピ」
先日、「合法レシピ」という漫画を読みました。
kindle版なら無料なのでぜひ読んでみてください。
内容もかなり面白かったです。
暴力団「霜降肉組」の新人組員・紺田照(こんだ・てる)、高校3年生。彼が任侠道のほかに心血を注ぐのは「お料理」! 切った張ったの世界で生きながら、硝煙にふとサバの塩焼きを思ってしまう……そんな紺田の今日の晩ご飯は!?
Amazon紹介文より
これを読んでいるときに「勢い」のようなものを感じませんでしたか?
AとBを掛け合わせたら面白いんじゃね?書いちゃおう!みたいな勢い。
いい意味であまり考えずに、勢いで突っ走って完成させた感じ。
(作者さんが本当にこの意図を持って作られたのかはわかりません)
何かをやる時って、大まかに2パターンに分かれるんじゃないでしょうか。
じっくり考えて、細部まで詰めてからやる
始めの勢いで完成させて、後から細部を詰める
こんな感じですかね、ついでに右脳とか左脳とかも結び付けられるかも。
どちらが上とかはもちろんありません。
今回のマンガは後者の、勢いで押し切ってくる動きを感じました。
例えば以前紹介した「世界第八の不思議」も、全く関係ない二つの言葉を結び付けたマンガです。
パンツ×ロンダリングみたいな。
極道×クッキングと通じる部分がありますよね。
でも「世界第八の不思議」は、どちらかというと前者の「考えるタイプ」な気がします。
話を練りに練って、一つ一つが小話として完成されている。
一方、この「合法レシピ」は勢い&勢い。
タイトルのアイデア一つだけで攻めてる感じ。
一話一話の完成度は低いかもしれないけれど、決して欠点ではない。
「勢いがあるから許される」みたいな。
(許されるというのは少し違うかもしれません。)
例えるなら味の濃いB級グルメですかね。
二郎とか家系ラーメンのようなインパクトの強いやつです。
最初の味のインパクトは強いけれど、最後は「もういいや…」ってなっちゃう感じ。
味の完成度は高級フレンチなどには劣るかもしれないですけれど、ラーメンはラーメンで良いですよね。
一口目が最高すぎて、途中の単調な味も好きになってしまう。
これもそんな感じのマンガだと思うんです。
要はどっちも美味しいし、面白いよってことですね。
ジャンルは違いますが、 以前にも似たようなことを書いてました。
デカルトのように物を分解して考えてもいいけれど、そうすると”勢い”が失われてしまう。
第二は、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。
デカルト; 谷川 多佳子. 方法序説 (岩波文庫)
B級グルメを素材で分解するなんてナンセンスですよね。
大切なのは一口目の美味しさ、要は勢いです。
めちゃくちゃ味が濃くって、にんにくやスパイスが効いていて、一口目が一番おいしい。
それで「いや、ちょっと多いな…」みたいに後悔するのもまた一興です。
何の話でしたっけ。
というわけで、「合法レシピ」。
無料なのになかなか面白いので、読んでみてはいかがでしょうか。