魔物側から描いたRPGの世界で、人間が大活躍! 鬼畜なのは秘書だった、「魔王の秘書」レビュー
ドラクエとかで魔王とかモンスターとかいるじゃないですか。
なんで彼らって、強い敵を一気に出して勇者とか倒さないんですかね?
勇者倒しても半分しかお金持って行かないのも謎じゃないですか?
そんな鬼畜なRPGの世界もちょっと見てみたいですよね。
実はあるんです、そんな最強鬼畜魔王が活躍するマンガ。
今回はそんなRPGを舞台にした漫画、「魔王の秘書」を紹介します。
魔王の秘書
あらすじはこんな感じ
ついに眠りから目覚めた魔王。世界征服のため人間を捕らえて研究することに。
ところがやって来たのはとんでもなくデキる「秘書」だった…!
想像を絶する有能ぶりでテキパキと仕事をこなす彼女のせいで……人類マッハでヤバい!! Amazon紹介文より
とんでもなくデキる秘書、とんでもなく鬼畜です。
「農作物に遅効性の感染症を植え付けましょう」とか
「最強のモンスターでまずは最初に勇者一行を叩きましょう」とかもう最恐。
RPGの常識をことごとく覆していくデキっぷりです。
このマンガで最強なのは魔王じゃなくて秘書なんです。
発想はすごく面白いギャグチックなマンガ
「戦ってない間は魔物って何して過ごしてるんだろう?」
「魔王軍の雇用形態ってどうなってるんだろう?」などの疑問を突き詰めていったのがこのマンガ。
はぐれメタル的なスライムや触手系のモンスターの生態などなど、慣れ親しんだRPGの世界観なだけあって面白いです。
触手系モンスター「最近は子供が出来るとすぐ母親面してメンドクサイんですよね~」
ファンタジーの世界で斜め上のギャグをキメてきます。
特に印象深いのが魔界の働き方改革の話。
ついに封印から解かれた魔王は、人手(人なのか?)不足解消などのために魔界の働き方改革に着手します。
「棍棒を持ってそうなゴブリンは実はレイピアのほうが得意だった」
モンスターの武器のイメージってありますよね。
強面の人型モンスターが実は事務のお仕事が得意だったり…?
キレキレの発想でクスッと笑わせてきます
「福利厚生のために子供手当や人間の生き血バーを用意します!」
魔界の生態系って凄く面白そうですよね。
スライム系ってどうやって個体を識別してるんだろう?とか
分裂して増えるモンスターの子供手当ってどうしよう?とかとか
先ほどの触手系モンスターの話もここで出てきます。
魔界×子供手当、凄い発想です。
ネタバレは避けたいので、気になったらぜひ読んでみてください。
なぜか人情深い魔王
ここが好き嫌いが分かれそうなポイント。
悪の権化のようなイメージがある魔王は、この作品では人情深くて酒浸りの魔王です。
二度寝したいから復活が遅れたり、二日酔いで酒焼けした声で演説してみたりとなかなかのクズ魔王っぷり。
どっちかっていうと秘書のほうがいわゆる魔王に近いですね。
このマンガ、あくまでギャグマンガっぽいスタイルなので、クスッと笑わせてくれます。
なのでガチガチの戦略系RPGファンタジーを期待して読むと、少し期待外れになりそうです。
個人的には勇者の一行も最強にして、戦略バトルマンガみたいなほうが好みだったかなーという感想。
まだ一巻なので、これからそっち方面にシフトしたりするんですかね。
発想は凄く面白かったので、中だるみさせずにいい感じで終わらせて欲しい所です。
そう考えたら、めちゃくちゃ良い発想してるのにショートコメディ―形式にした「世界八番目の不思議」は理に適っているスタイルだったんですね。
こういうマンガはちょっと読み足りないくらいが適量かもしれません。
とはいえ世界観とギャグは最高
RPGの世界とちょっとしたコメディーが好きなら、ぜひともオススメしたい作品です。
勇者の視点でしか見てこなかったファンタジーの世界が、反対の魔物の目線から描かれている、なかなか珍しい作品です。
現時点で一巻しか刊行されていないので、手に取りやすくなっています。
魔物の世界、ちょっと改革してみませんか?