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つばな先生の集大成な百合SFエンターテインメント漫画! 「惑星クローゼット」レビュー

気がついたら、異世界にいた。

そこはドコかもわからず、居るのは記憶のない少女人間を襲う異形の怪物たち。

逃げたくても逃げられない状況のなかでも、希望や尊い出会いがあった…

絵柄に惹かれて購入したこの作品、ストーリーも世界もめちゃくちゃ凄かったです。

今回はそんな日常×ホラー×百合という作品、「惑星クローゼット」を紹介します。

 

 

 

惑星クローゼット

ある日、女子中学生の愛海は見知らぬ世界で巨大な怪物に襲われる夢を見る。そしてその世界には愛海に助けを求める、同年代の少女フレアが居た。「夢の中の出来事」と目を覚まして学校に向かう愛海だが、その日以来眠りのたびに“あの世界”へと迷い込む――。異才・つばなが描く「百合×SFサバイバル」!

1巻 Amazon紹介文より

ご飯を美味しそうに食べることが出来る。

それだけが得意な中学生の女の子「愛海」は、気が付いたら異世界にいた。

そこで出会ったのは、記憶を失った少女と、彼女を襲う謎の生物たち…

表示の絵柄からは想像できないほどのSFホラーっぷりを見せてくるこの作品、めっちゃ面白いです。

 

突如投げ込まれる理不尽さ、事実性

気がついたら異世界にいて、異形の怪物たちに襲われてしまう、そんな現実。

生き方も帰り方もわからないし、ここがどこかも何が襲ってくるのかもわからない。

そんな中で絶望せずに動き続ける彼女たちの姿に、涙が出そうになります。

 

動き出したら、少しずつ希望が見えてくる。

現実と異世界を行き来する方法がわかり、謎の生物の正体もヒントがわかり…などなど

突然、異世界に連れてこられたという事実に負けず、少しずつでも動いて希望を探す彼女たちの姿が本当に美しく見えます。

言動や描写の一つ一つが伏線になっており、それを使って異世界を明らかにしていく様は圧巻です。

 

私はこの描写を人生と重ね合わせて見てしまいます。

望もうと望まなかろうと、この世界に生を受けてしまったという事実性、それが異世界に急に入ってしまった愛海たちの描写と重なります。

辛い現実がある、けれどそれから逃げることはできない。

そんな中でも愛海たちは絶望することなく、異世界の謎を解き明かしながら異形の怪物に立ち向かっていきます。

そんな彼女たちの姿から、なんとなく「生きていく勇気」を貰っているような気分になります。

 

カワイイ×ホラー

つばな先生の絵柄と作風がかなり良くマッチしていると思います。

超絶望的な状況なのに、それに押しつぶされないような絵柄。

異世界でも失われない、主人公たちの無邪気さがよく表現されており、異世界という非日常のなかでの、二人の会話などの日常がより際立ちます。

その会話のなかで、忘れられた記憶をだんだん取り戻していき、記憶を失った少女「フレア」の凄惨な過去が明らかになっていきます。

日常と非日常が混ざった不思議な世界がこの作品には広がっています。

 

ネタバレは避けますが、異形たちの造形は必見です。

得体のしれない恐ろしさが本当に上手すぎます。

身の危険からくる怖さでもなく、グロさからくる恐れでもない。

「何物かわからないけど、何か怖い」そんな怖さが漂ってくるでしょう。

 

 最後に

本当に面白い作品なんですけど、上手く紹介できる気がしません。

各所に哲学的な考察や、言葉にできない恐ろしさや尊さがある、凄いマンガです。

ふと目が覚めたら布団の上で、「あ~夢だったのか。」って。そうならどんなにいいだろ。でも、私が望んでる現実って、どこからどこまでなんだろ。認めたくない現実が大きいのに、それでも私は、あなたとの出逢いだけは本物でありたいと願った。女子2人、人喰い惑星“絶望”来襲!!! 

2巻 Amazon紹介文より

この紹介文がいちばん的確にこの作品を表しています。

ミステリアス×不思議×百合 ホラー描写に耐性がある方には本当にオススメしたい作品です。

ぜひ読んでみてください。

 

 

 

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