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東野圭吾好きにはたまらない!彼の最後のエッセイ「たぶん最後のご挨拶」のレビュー

皆さんは東野圭吾という作家をご存知ですか?

「容疑者Xの献身」「流星の絆」など数々の有名な小説を書き上げた、日本を代表する作家の一人でしょう。

彼がどんな風にあの素晴らしい小説を書き上げたのか、知りたくないですか?

また、彼の人生も小説家として一筋縄ではいかなかった時期もありました。

今回は彼のバックグラウンド文章術を知ることが出来る本について紹介します。

 

 

たぶん最後のご挨拶

 押し続けていれば壁はいつか動くーそう信じて書き続けた。 本文より

彼自身はエッセイを書くことを苦手としているようで、表題にある通りにこれ以降はエッセイを出版していません。

そんな彼の最後のエッセイには、あまり知られていない苦労した時代のエピソードや、有名小説のバックグラウンドが書かれています。

 

東野圭吾の雌伏の時代

史上二番目の若さで乱歩賞を受賞し、以後も有名作品を発表し続けている彼ですが、売れない時代も長くありました。

乱歩賞の受賞後、「秘密」が売れるまでに文学賞を15回も落選するなど、苦労を有する時期でした。

今ではそのころの作品も有名になってはいますが、良いものを書いたからといって売れるわけではなかったようです。

また、2000年代前半は出版業界全体が不況だったこともあり、作家としても希望を見出しにくい時期だったでしょう。

そんな時代の彼の生活が、飾ることなく綴られています。

 

東野圭吾本人による自作解説

自作解説の節では、「彼がどのようにして有名作品を書けるようになったのか」という作家としての方法論を各所に見ることが出来ます。

例えば「失敗作をリライトして次に活かす」「成功したパターンから着想を得て、別のネタに活かす」など数々の作文術があり、文章にかかわる人には必見の部分です。

理系出身でありエンジニアとして勤務していた過去もあり、理系としてどのように文章を考えるかという新しい文章術を垣間見ることが出来るでしょう。

また、各作品の「書こうと思った動機」「メインのテーマ」「雰囲気の選び方」についても記載があります。

作品のバックグラウンドストーリーを知ることで、より一層その作品を楽しめるようになるでしょう。

SMAPの「夜空ノムコウ」から雰囲気の着想を得た作品などもあり、あの作品にあんなストーリーがあったのかと驚かされます。

(これはどの本についての話かわかりますか?)

 

東野圭吾の最後のエッセイ

いかがだったでしょうか。

他にも「あの頃ぼくらはアホでした。」など合計4冊のエッセイが出版されています。

彼は「ネットが発展して今、エッセイレベルの文章にお金を払ってもらうのは申し訳ない」という理由で、この本以降はエッセイを出版していません。

そんな彼の最後となるエッセイ本は、東野圭吾好きとしては外せない本でしょう。

物書きとしての文章術や作品のバックグラウンドを知られるこのエッセイ集

また違った角度から、東野圭吾作品を楽しんでみませんか?